壬空「キース君は今からどこに行くの?」
キース「部下の供養さ」
壬空「そっか……。良かったら一緒に向かっていいかな?」
キース「…いいぜ」
月華「花を差し上げる事はできます。ブラッドストリームの空洞へ向かいましょう」

11番街 街の外
プルールルール♪
リリ「壬空さんと連絡が取れたよ!」
楽兎「ったく、ブラッドストリームにはいなかったはずだぜ」
リリ「私達が気絶してる間に移動してたんだって」
貞弘「柏木さんはどうした?」
リリ「生きてるって」
貞弘「お~、さすが柏木さんだな!」
楽兎「柏木ならそりゃ無事だろ。あいつは無茶苦茶強いし」
不知火「……」
貞弘「フン、ブラッドストリームは10番街だがここは11番街だしよ、10番街に移動するか?」
リリ「壬空さんが、暫く旅に出るから合流はいいって。それと、タナトスの部下を沢山捕らえて警察に付き出したから、麗奈さんの手術代を電子マネーで送ったって」
楽兎「ほ、本当かよ……!
リリ「暫く遊んで暮らせるだけのお金はあるって」
楽兎「よし……4番街に向かって麗奈を病院に搬送するぞ」
不知火「リリさん」
リリ「?」
不知火「楽兎君には、もう少し積極的にならないと、麗奈さんに奪われてしまいますよ」
リリ「私と楽兎って恋愛感情ないんだ。不知火君も世話ばっかりじゃなくって女の子に積極的にならないと彼女ができないよ♪」
煙が出る様に顔を赤らめる不知火

ブラッドストリーム―空洞―
壬空「大分歩いたわね」
キース「疲れたかい?」
壬空「いえいえ、まだ全然大丈夫だし!」
キース「危険はないさ。危険があったらレディをここには連れてこねぇ」
月華「……」
それは、敵味方もろども焼死させてしまったキースの自信と絶望でもあった
ザッ、ザッ
壬空「ふ~、疲れた」
月華「……凄まじい『怨』を感じますね」
キース「ああ、俺達三人の武力を感じ取っても『怨』を丸出しに出来る奴なんて、怖いもの知らず以外の何者でもないね」
月華「キース様、好戦的なのですね」
キース「こいつはバールだ」
キースの100倍は大きいバールの牽制で門が薙ぎ倒される
キース「でかい。ブラッドストリームに有ったバール・ライブラリの中央に飾られてたホルマリン着けのヤツか。弱い奴はバール・ラボラトリで実験台になってるし、こいつは無傷の新品だな……」
月華「私の刀で刺せますが、深さに限界がありますね。眼球など柔らかい部位なら攻撃は与えられそうです」
キース「こいつはウチの資料館でも代表的なバールだからトータルで氷女人以上に強いと思ったほうがいいぜ」
月華「心得ました」
キース「壬空ちゃんは危ねぇから物陰で隠れてな。『滅』を忘れんなよ?」
壬空「きゃっ!」
キースが壬空を抱えて、壬空を物陰に隠す
壬空「……キース君……」
キース「俺の黒炎で丸呑みにしたら丸焦げにできるが時間はかかるぜ」
月華「まず致命傷を与えましょう。私が先に攻めます」
門が薙ぎ倒され目の前に巨大な空洞と空が現れた
瞬間的にバールの眼球まで近付く月華
ズギャギャギャギャギャギャ
バール「ギュピイイイイイイイイイイイ」
キース「スピアシェイパーっと。2つ必要だな」
ワンテンポ置いてキースがバールの眼球に近付き、黒炎の槍を裂けた両目に投げ込む
月華「どうやら、キース様が黒炎の槍を眼球の裂目に投入し続ければ勝ちの様ですね……」
キース「ちょろいっすわぁ」
バールから出る8つの突起から無数の眼球が開く
キース「……あら」
月華「私が全部斬るので……」
月華の背にテレポートするバールの突起
ドゴォ
月華「……っハ……」
キース「くっ!これがウェポンって訳か!」
キースの背にテレポートするバールの突起
キース「避けるのは十八番なんでね!」
空中に浮き無規則に移動するキース
しかし、テレポートの位置そのものがキースの背中に追従している
キース「まじかよ、避けられねぇのか!?」
背中に黒炎の槍を構えるキース
ドゴッ
キース「がはっ!!!!」
黒炎の槍に焼かれる突起だが、突起の突きが速く、突起を防ぎきれなかったキース
物陰に隠れていた壬空が朱雀剣を上にかざす
壬空「ドラゴニックオーラ!キース君と月華を空に連れていって!」
朱雀剣から出る透明の竜が月華とキースを捕まえ、空に上昇する
壬空「私も尻尾で捉えて」
尻尾で壬空を捕まえるドラゴニックオーラ
月の塔から漏れる光を中心に、ブラッツで覆われた暗闇の空を昇る竜であった
壬空「……追ってこないわね」
無垢な顔で静かに気絶しているキースと月華
壬空「この二人仲がいいわぁ。ねぇドラゴニックオーラ、どこに行く?」

7番街―ファルカッセル城
グラン「これが桃源郷へ繋がる祭壇か」
マッドレイ「その様ですな。……しかし、何故月華様は、この旅路を拒否なされたのか……」
グラン「他の勢力と協力する話があったのだそうだ。それに、私はこの旅路を月華様には話していない」
マッドレイ「……何故その用な行為をなされたのですか?」
グラン「桃源郷が本当に在るのかが怪しいからだ。この様な高熱の地に出向き、もしも紅闘士団の話が嘘であれば、我々の旅路は無駄足になるだろう」
マッドレイ「もし、紅闘士団の言う事が本当で、桃源郷に移動した場合は、グラン様は魔法を習得なされるつもりだったのですか?」
グラン「副作用があるとしても、私が習得するつもりだ」
マッドレイ「……もし一人しか継承できないという条件があったとしてもですか?」
グラン「No.3である君に継承させても何ら困難はないだろうが……」
マッドレイ「……なるほど。しかし、いくら毒味の旅路でも、月華様が居なければ、いざという場合に対応できないのでは……」
グラン「強大な敵も含めた旅路だ。私達が倒されれば、月華様が危険を察知する」
マッドレイ「その様な行動を、月華様が聞いて許すとは思えません」
グラン「……臆したかね。マッドレイ」
マッドレイ「いえ。……私めも是非ご一緒させて頂きます」
グラン様「オー・リー・エンジェルダスト(全てはエンジェル・ダストのために)」
マッドレイ「宝珠を祭壇に嵌め込みます」
祭壇から黒きヴィジョンが現れる
グラン「あ……あ……この方は……」
マッドレイ「知っているのですか!?」
グラン「幼い時…最重要文献……暗黒文献で見た……『時の管理者』……」
マッドレイが真っ青な顔でグランに聞く
マッドレイ「時の管理者とは何ですか!」
グラン「この方は……タイムスリップという概念をある時代に作り出した神……文献によれば……ある時エンジーアイルストという団体が闇に覆われ……『時』を司り始めると記してある……」
マッドレイ「……うわあああああああああああ!!!!!」
ノキリアの影「オマエタチニハコレカラバールトシテイキテイタダク」
ノキリアの影がエンジェルダストの全員を一瞬で飲み込んでしまった

4番街―病院―
麗奈「………楽兎」
楽兎「麗奈!麗奈!ずっと看病してたぜ!」
麗奈「私も………頭の中でずっと楽兎の事を考えてたのよ」
楽兎「俺もだよ!嬉しいな、何食べる?最新の菓子でも食べるか?あれから何年経ったと思ってるんだよ?なぁ……!」
麗奈「あなたは……楽兎の恋人の方?」
リリ「えっ?」
麗奈「匂いで分かります……」
リリ「そ、そういうものなのかな……全くわからないけど……とにかく、私は楽兎の彼女じゃないですよ」
麗奈「貴女も私の看病をしてくれてたもの……。次第に楽兎と似た匂いになっていった……」
楽兎「おいおい冗談はまだ早いぜ麗奈。ただ男らしい臭いがするってだけだろ?」
リリ「私男らしくないしー」
麗奈「本当に、楽兎と恋人じゃないの?」
リリ「はい」
麗奈「じゃあ、私、彼女?」
楽兎「そうだろ?」
麗奈「私の事をずっと彼女だと思ってくれてるなんて……嬉しいよぉ……」
楽兎「俺には麗奈以外考えられねえのさ」
麗「今日は、泊まっていくの?」
楽兎「今日は?はっ、ずっと一緒だっただろ?これからもずっと一緒にいんだよ、俺達」

END

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